2020-2021年に長良川流域で集中観測したデータをもとにした論文が Journal of Hydrology: Regional Studies に掲載されました。
本研究では,長良川本川と支川の54地点で観測した水温データに,気温データと水文モデルによる流量推定を組み合わせ,流域全体の水温変動を分析しました。
長良川は,本川に流量を操作するダムがなく自然に近い流況が保たれている一方で,森林におおわれた山地から下流の水田地帯を流れる支川まで,多様な地質・土地利用条件を一つの流域内に含んでいます。このため,日本の気候,流量,地下水,農業用水利用が河川水温に及ぼす影響を比較するのに適した流域です。ですので,本研究成果は長良川だけでなく他の流域にもあてはまる基本的な特性を示していると考えています.
主な結果は次のとおりです。
本川では,下流ほど水温が気温の影響を強く受ける傾向があります(夏は温く冬は冷たい)。一方,源流に近く地下水の影響を受ける支川は,夏には本川を冷やし,冬には低温を緩和することで,本川の水温を安定させていました。
また,夏季の低流量時には,河川の水温上昇と地点間の温度差が大きくなりました。これに対し,降雨によって流量が増えると,水温が低下し,流域全体の水温差が小さくなりました。水田灌漑からの還元水は,低流量時に局所的な水温上昇を強める可能性も示されました。
長良川の水温は,気温だけでなく,流量,地下水,支川の特性,農業用水利用の組み合わせによって形成されています。気候変動下で河川生態系を考える際には,支川流域の水源涵養力の保全にも目を向ける必要があります。
論文はオープンアクセスです。
Morihiro Harada, Shigeya Nagayama, Masanao Sueyoshi, Ryouji Fujii, Takeo Onishi,
Thermal regimes in a monsoon-influenced mountainous river basin: The Nagara River, Japan,
Journal of Hydrology: Regional Studies,
Volume 67, 2026, 103801, ISSN 2214-5818, https://doi.org/10.1016/j.ejrh.2026.103801.
(https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2214581826006993)
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2214581826006993



